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【初めての××】(椿×かのこリクSS・大学生恋人設定)

リクエストの指定枠からはちょっと外れるんですが、「恋人設定で大学生設定」というリクエストでした。
一応これも書ける範囲だし、いいかな…ってことで。

◆◆◆
 土日を使って旅行に行こうってことになった。
 正直、なんでそんな話になったのかよくわからない。でもいつの間にか、椿君と二人で温泉旅行へ行くことになっていた。なんか口車にノセられたような気がしなくもないけど……まあ二人とも大学に進学して、付き合い始めてからもう結構長いし、今更二人で旅行なんてやだってわけでも照れるわけでもない。
 今日は、そのための買い物に二人で出て来ている。
 だけど温泉旅行のために用意するものなんかあったっけ……?
 駄目だ。中学までの孤独を脱出し、高校を経て大学まで来たけど、友だちと温泉旅行なんて初めてだから、何を用意するんだかわかんないよ。
「友だちじゃないだろ」
 そんなことを考えていたら、椿君が顔を覗き込んで来た。
「え」
「彼氏」
「……」
「恋人」
「…………」
「おまえ、考えてること口に出す癖どうにかしろよ」
 ……しまった、ダダ漏れだったらしい。
 顔が熱くなったので、多分赤くなってるんだってことはわかったから、椿君の視線から顔を背ける。
 ――これは、考えがダダ漏れだったことが恥ずかしいんじゃない。
 彼氏とか!
 恋人とか!
 真顔で言うからだよ、この男が!
「か――買い物でしょ。行くよ!」
 目線を逸らしたまま、さっさと歩き出す。
 椿君と並んでいれば、注目を浴びることは防げない。そんなことは中学時代からわかってることだ。見られ放題なのは止められないから、せめて立ち止まってまじまじと観察されるのを防ぐには、自分がとっとと歩くしかない。
 真っ赤になってる顔を注目されるとか、どんな晒し者だ。
「おー」
「……で、何買うの」
 追いかけて来る椿君を振り返らず、努めて冷たく言った。
「旅行用品だろ」
「旅行バッグならあるよ。実家に帰る時に使うから」
「俺が新しいの買う」
「わかった。それから?」
「着替えだな」
「別に温泉行くのに新品の服じゃなくてもいいんじゃない?」
「おまえがいいなら、いいけど」
 ……なんだろう、その含みのある言い方は。
 もう顔の火照りも落ち着いたと思うので、振り返って椿君の顔を見てみた。
 さっきも考えてたけど、私は友だちと温泉旅行なんて初めてだから、そのセオリーをよく知らない。
 もしや私が知らないだけで、温泉旅行にはおろしたての服で行くものなのか……?
 高校三年間プラス大学生活では、まだ私の常識は世間一般に追いついていないのか。
「……買うのが普通なの?」
「俺もよく知らねーけど、夢見がそんなこと言ってたから」
「夢見さんが?」
「苗床と旅行行く話してたら、一緒に新しい下着を買……」
 もが、と椿君が声を詰まらせる。もちろん詰まらせたのは私の掌だ。全力全速で、椿君の口を塞いだ。
「なんで夢見さんに旅行行く話をしてるわけっ!?」
 そもそもそこだ!
 何故そんな話をしてるかな!
 返事を聞くために、そっと手を離す。
「いや、夢見から行くのかって聞かれたから。苗床が話したんじゃないんだな。てことは盗み聞きされてたか。夢見も年々隠密度が上がってんな」
 腕組みして、感心してないで……
 赤くなっていいのか青くなっていいのかわからないが、多分顔が熱くないから、今私は青くなってると思う。
「か、買わないから!」
 買うとしても、ぜったい椿君は連れていかない。
「そうか?」
 こくこくと頷く。
「どうせ風呂は貸し切りだし、新しい下着は俺もいらないな」
 ……え。
「今、なんて?」
「俺もいらないって」
「その前」
「新しい下着」
 下着なんて路上で言われる恥ずかしさも、今は拘ってる場合じゃなかった。
「その前!」
「風呂は貸し切り」
 それだ!
「それって……お風呂が部屋にあるってこと?」
「いや、そんな高い部屋じゃねーし。小さい宿だから、混浴で貸し切り」
 こ……!
「混浴なんて聞いてな……っ!」
「安心しろよ、貸し切りだから見るのは俺だけだって」
 そういう問題じゃない――!
  1. 2013/02/10(日) 14:41:39|
  2. 恋愛SS-R|
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