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A5・20P・オンデマ印刷・カラー表紙・R18 ・予価200円
椿×かのこで、監禁もの。椿君がかのこを別荘に閉じ込める話です。
ヤンデレ風味ですが、思ったより椿君は壊れませんでした。
時間軸は高校生だけどちょい未来で、恋人関係じゃない二人から始まる話。

恋観測、最後の椿かの本。
書店委託は、イベント後の余った数によります。残らないか、少し残るか、くらいの数字で刷ってます。

7/26 表紙画像UPしました。

サンプルは↓
「ほどいてよ」
 部屋に入ってきた椿君に、そう言った。
 そう言うのが、もう約束になっているような感じだった。
「やだね」
 椿君は、返事はしてくれる。頷いてはくれないけど。
 ここに来てから、椿君と私の間では、ほとんど会話にならなかった。私がなにか言っても、椿君はまともな返事をくれない。椿君が話しかけてくるときには、私が返事に詰まる。
 ……状況から説明すると、私は今、ベッドに繋がれている。
 今、私の両手は、手錠で拘束されている。いわゆる刑事ドラマとかで見かけるあの手錠だ。
 私が普通に縛られたくらいじゃ縄抜けできることは椿君はわかっているから、私の力では破壊できない強度を求めた結果だろう。
 入手方法に疑問はなかった。ネットの海からはいくらでも、そんなものを手に入れるルートが見つかる。
 手首に傷がつかないように、ゆるい綿手袋をはめた上に手錠がかけられている。
 そんな気を遣うのなら、そもそも拘束しないで欲しいが、これが椿君の目的と配慮の妥協点なのだろう。
 針金なりヘアピンなりあれば、時間をかければ鍵を開けることはできる気がしたが、私の手にそんなものを持たせるようなミスは、今のところ椿君はしていない。
 手を縛っている手錠の上から更にロープを繋ぎ、その先は私の頭上に伸び、ベッドの足に結びつけられている。長さには少し余裕があって、私は少しならベッドの上で体を捻り、起き上がることができる。だがそれは、私の腕が自由に自分の足までは届かないくらいのわずかな余裕だ。
 もちろん、ベッドの足まで手を伸ばすこともできない。片足が、対角線上のベッドの足に繋がれているからだ。
 片足にも手錠。足なのに手錠。手錠という名称のものだから仕方がない。
 傷がつかないように靴下ははかされて、その上に手錠。手錠の片方の先はロープが繋げられていて、それがベッドの足に繋げられている。
 すべてにおいて、私がこのロープから自由になれないように、それでいてできるだけ痛くなったりしないようにという計算がされている。その頭の良さが椿君で、気の遣いようが椿君で――
 今、椿君が持ってきたのは、食事だった。
 ずっと遮光カーテンが閉められていて、外の様子はわからない。この部屋には時計もない。
 だから、私には昼も夜もわからなかった。
 おなかが空いたなと思う頃に、椿君が食事を持って来る。それがたぶん、そういう時間なんだろうなと思わせるだけだった。
 ただ食事も――ここにいる私にとっては、辛いことだった。
 椿君はロープをほどいてくれないから、自分で食べることはできない。
 ここまでの食事は、ほとんど咀嚼しないで済むスープ、おかゆ、リゾット……やわらかいものばかりだ。野菜は細かく刻まれて入っており、卵やチーズもよく入っていて、栄養のバランスを考えてあることも察せられた。
 食器はアウトドア用の紙皿と、プラスチックのスプーンのみ。フォークや箸などの硬く尖ったものは、けして椿君は私の手の届くところには持ってこない。
 それで私が自傷することを恐れている……のもあるだろうけれど、それを使って私が逃げ出すことを想定しているんだろうと思う。
 話を食事に戻そう。そんな風に用意してきた食事を、椿君が私の口に運んでくれた……最初。
 最初は……いや、今もだけれど、私はこんなことをした椿君に怒っていたから、食事を拒否した。
 食べずに弱っていくことは予想できたけれど、椿君は私が弱ることで折れるのではないかと思っていた。椿君は友達に優しくて誠実で、私にはずっと甘かったから。
 椿君が、ここに至って自分が望むことのために細心の注意を払っているということに気が付けなかった、私の甘い見込みだ。
 それが甘えであったことも、今はわかっている。
 椿君が怒ってこんなことをしているわけではないことも、今はわかっている。
 私が食事に口を開かなかったから――椿君は、私に食べさせる次の方法を考えたようだった。だから食事を抜いたのは、一度だけだ。
 椿君は部屋の隅からベッドの横に小さなワゴンを引いてきて、その上に食事を載せたお盆を置いた。それで横になっている私の頭のところに座り、スープをスプーンで掬うと自分の口に運ぶ。
 それで――
「椿君! ちゃんと食べるから……! んぐっ」
 そう言っているところに、口移しでスープが流し込まれた。
  1. 2013/08/09(金) 20:12:07|
  2. 雑談|
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