あばうとSS目次恋愛SS-N恋愛SS-R恋愛SS-S恋愛SS-×作品感想妄想悪戯描き雑談返信お知らせ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|

【Birthday Mystery Tour (余り)】(椿×かのこ)

これは去年の冬コミのペーパーに載せてた小話です。
整理してたら出て来ました…もっと前に載せるつもりだったような記憶もありますが、忘れてたようで。
冬コミ発行の『Birthday Mystery Tour』の中でスッキリ入らなかったので切ったエピソードで、実際の本にはない部分です。

本読んでなくても、多分「椿君とかのこが二人で旅行中だ」という前提で読んでいただければ大丈夫じゃないかと思います。
ただし恋人設定ですので、その旨踏まえてご覧ください。

では「続きを読む」からどうぞ。
◆◆◆
「うわ、降ってきた……!」
「あそこに!」
 曇り空が急に重くなったかと思うと、ばらばらと大粒の雨が降ってきた。
 辺りは田んぼばかりで、雨宿りする場所はないかと思ったが、道沿いに小さな掘っ立て小屋のようなものが見えた。
 そこまで走る。
 そして飛び込んでみたら、それは壊れかけのベンチを置いて、屋根があるだけのまさに掘っ立て小屋だった。
 扉はない。
 道路に面した壁一面が開いている形だ。
 ともあれ、雨が避けられるのはいい。取り返しがつかなくなるほど、ぐっしょり濡れる前で良かった。
 苗床も鞄からタオルを出して、髪を拭いていた。
 内側の壁を見ると、ホーロー製の時刻表が貼ってあった。
「これバス停なのか?」
「バス停だよ」
 田んぼの真ん中でも、バスは停まるのか。
「……一時間に一本ないな」
「こういうとこだからね。次いつ?」
「30分後だな」
「すぐ来るね、良かった。雨降って来ちゃったし、バス乗って駅に戻ろう」
 30分後で、「すぐ来る」のか。
 田舎の感覚は、違うな……
 苗床は腰を据える体勢で、ベンチに腰を降ろしている。
 30分。なにもしないで過ごすにはちょっと長いだろう。
 俺は苗床の隣に、ぴったり寄り添うように腰を降ろした。
「苗床」
「なに、椿く……」
 ん、まで言う前に口を塞いだ。
 思う存分堪能してから唇を離すと。
「椿君」
 苗床は顔を顰めていた。
「一応、ここ屋外なんで、自重してもらえると嬉しいんだけど……」
「誰も来ねーだろ、こんな雨降りの田んぼの中のバス停」
 だから、30分間は個室と同然だと思ったんだが。
「だから大丈夫だって」
 と、抱き寄せたら。
「なにがー!」
 暴れ出した。
 本当に猫みたいな奴だよな。
 なだめるつもりで髪やら頬やらにキスしたら、もっと暴れるし。
「だから、外ではやめてって! ……って」
 苗床があんまり蒼白な顔をしたんで、ちょっと心配になる。
「どうした?」
「椿君! バス来た、バス」
 バスは30分後だろ? 
 なに言ってんだ、ともう一度キスしようとしたら。
 ぐきっと首が鳴るほど、思いっきり両手で顔を逸らされた。
「だからバス来てるって言ってるじゃんよ!」
 強制的に向けられた視線の先には、確かにバスが停まっていた。……雨音で気がつかなかったぜ。
 俺が見ると。
「あー、ゆっくりでいいよ、兄さん。ちょっと時刻表より早すぎっからさ」
 と、運転席のおっちゃんは言った。
 バスが遅くなるのはよく聞くが、早すぎるってなんだよ。
 ……誰も乗ってねーってことだな。
  1. 2011/06/09(木) 13:53:41|
  2. 恋愛SS-×|
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。